今のわたしは野天風呂で
鼻唄をうたっている勇気はない。
が、試合の時がきて、秀吉勢は
鼻唄まぢりの景気にまかせて、一気に勝を占めた、といふ話なのである。
この
鼻唄は「多分死にはしないだらう」といふ意識下の確信から生れ、死といふものを直視して祖国の危難に赴く人の心ではない。
のみならず、生れつき手先が器用だから、自分で仏像をきざむ、倅の五忘には小さい時から仕込んだから、親子
鼻唄マジリで年に二十体も仏像を刻めば大そうなミイリになる。
一方、機関助手の杉本は、ゴールデン・バットに炉口の火を点けてそいつを横ッちょに銜えると、油差を片手に
鼻唄を唄いながら鉄梯子を降りて行ったんです。
日闌けて眠き合歡の花の、其の面影も澄み行けば、庭の石燈籠に苔やゝ青うして、野茨に白き宵の月、カタ/\と音信るゝ
鼻唄の蛙もをかし。