そして、兎も角学校を卒業して——(もはや二年半)、無為な毎日をただ送るうちに、殆んど辷るやうにして、
たわいもなく斯様な憂鬱に潰されてしまつた。
貧弱な肉体の情慾が醜く、猛獣の性慾が壮観であるといふ、かういふ少年の空想のやうな、
たわいのない思弁家的美意識が私には鼻持ちならないのだ。
私は結局地獄といふものに戦慄したためしはなく、馬鹿のやうに
たわいもなく落付いてゐられるくせに、神様の国を忘れることが出来ないといふ人間だ。
一座が、
たわいもなく笑っても、彼のしっかりと閉された口は、容易にほころびなかった。
かくて道中、事も起こらずに増上寺へお着きとなれば、もうあとは
たわいがないくらいでした。
私どもは兄弟、四人だつたが、私はその頃まだ、から
たわいもない、やつと十一か……いや、十一にはなつてゐなかつたらうて。
『有明けのとぼす油は菜種ゆゑ蝶がこがれて逢ひに來る』、『むかし思へば深い中、死ぬる覺悟で來
たわいな』など云へる、可憐なる有明節も、今は東京にすたるやう也。