けれどもそんな時患者の方は、急に口をつぐんでいつも教えられたように院長の言葉を聞分けようとでもするのか、妙な上眼を使いながら
のそりのそりと尻込みするのだった。
笠さへ振向けもしなければ、青牛がまたうら枯草を踏む音も立てないで、
のそりと歩む。
お約束のようにヒュードロドロと下座がはいると、上手のささやぶがはげしくゆれて、
のそりのそりと出てきたものは、岡っ引き長助の扮している朝鮮虎です。
猫は愈不安さうに、戸の明いた水口を睨みながら、
のそりと大きい体を起した。
これが半纏向うはち卷の威勢の好いのでなく、古合羽に足駄穿き懷手して、
のそり/\と歩行きながら呼ぶゆゑをかし。
この時、
のそり挨拶なしに土間に現われたのが二十四、五の、小づくりな色の浅ぐろい、目元の優しい男。