と初阪は橋の北詰に、
ひしひしと並んだ商人家の、軒の看板に隠れた城の櫓の、今は雲ばかりを、フト仰いだ。
そこに、何ものか洗ひ浄められ慰められ、その下から
ひしひしと心に湧き上つて来るものがある筈である。
平生は、なんの気なしに、その看板を見過してゐたことが、
ひしひしと後悔された。
甚兵衛は朝からの戦いでかなり疲れていて、鎧の重さが、
ひしひしと応えるのに、その男は軽装しているために、溌剌たる動作をなした。
父も母も、頭から蒲団を被っていましたものの、私の声が彼らの胸に
ひしひしと応えていたことはもちろんです。
その上に、都会人である彼らに、孤島生活の惨苦が、
ひしひしと迫ってきた。
山吹つつじが盛だのに、その日の寒さは、俥の上で幾度も外套の袖を
ひしひしと引合せた。
川筋には青い蘆が、隙間もなく
ひしひしと生えている。
片側は、すぐ道に添うて河の流れになっているが、河の向う岸は丈の高い葦が、丈を揃えて
ひしひしと生えている。