浪打際は綿をば束ねたような白い波、波頭に泡を立てて、どうと寄せては、ざっと、おうように、重々しゅう、飜ると、
ひたひたと押寄せるが如くに来る。
離れの障子の開く音がして、
ひたひた板廊下をふむ柔かい足音がしました——丈の高い色の真白な晶子夫人が、私達の前へ現はれました。
——小村さんは一旦外へ出たが、出ると、すぐ、横の崖か巌を滴る、
ひたひたと清水の音に、用心のため引返して、駅員に訊いたのであった。
ひたひたと木の葉から滴る音して、汲かえし、掬びかえた、柄杓の柄を漏る雫が聞える。
京の舞妓の面影は、他のものの変り方を思えば、さして著しくはありませんが、それでもやはり時代の波は伝統の世界にも
ひたひたと打ち寄せているようです。
聞き澄すと、潟の水の、汀の蘆間を
ひたひたと音訪れる気勢もする。
煮びたしにするには、焼き枯らしたものを鍋の水に入れ、
ひたひたになるまで煮つめ味をつけるのだが、これを釜の中の炊いたばかりの飯に入れ鮎飯にすると喜ばれる。
若い男の人が、をぢいさんのしてゐたのと同じやうに、色のなくなつた信號機を風に
ひたひたさせてゐました。