センチメンタルな気風はセンチと呼んで唾棄軽蔑されるようになったが、世上一般にロマンチックな気持ちには随分憧れを持ち、この傾向は
追々強くなりそうである。
それだけにまた娘の、世馴れて、人見知りをしない様子は、以下の挙動で
追々に知れようと思う。
此が
追々に目立つて来たのは、まづ、鎌倉の中期と思ふ。
その静けさの中から、低く遅くだが
追々速く高く、宇吉の心臓の脈打つ音だけが聞えて来た。
否々、しまひには自分の男の児が女として育つて居り、自分の女の児が男として育つて居ることさへ
追々忘れて仕舞つたかのやうでありました。
然るに、
追々二たび元に帰つて、やはり、『らむ』とか『けり』とかを用ゐるやうになつた。
と思うと、丁字のまわりが煤のたまったように黒み出して、
追々に火の形が糸ほどに細ってしまう。
所が、何度かこんな満足を繰返してゐる中に、先生は、
追々、読んでゐる中でも、思量がストリントベルクとは、縁の遠くなるのに気がついた。
昨年の夏、ドイツ語も
追々進歩して、大抵の參考書を讀むに差支なくなつたと申越されたのを見ると、熱心なる先生の事故、餘程上達せられたものと見える。