「生きているかァ?
ウンここにあるのは、きみィの胸ではないか、だッ」
「
ウン、屋根の上で日向ぼっこでもしながら、これから先のことを考えよう」
「
ウン」兄は真黒い山の上に昇った月から眼を離そうともせず返事をしました。
「
ウン、昨日と同じ処を繰りかえすことになってるんだって。
「
ウン貴様は未だこの方を御存知ないだろう、紹介しましょう、この方は上村君と言って北海道炭鉱会社の社員の方です、上村君、この方は僕の極く旧い朋友で岡本君……」
頭の少しはげた、でっぷりとふとった客は「
ウン」と言ったぎり黄金縁めがねの中で細い目をぱちつかして、鼻下のまっ黒なひげを右手でひねくりながら考えている。