ただ船虫の影の拡ったほどのものが、靄に沁み出て、一段、
一段と這上る。
古い雪の上に新雪が加わると、その翌る朝などは、新雪が
一段と光輝を放って眩ゆく見える。
宇治の大納言隆国「やれ、やれ、昼寝の夢が覚めて見れば、今日はまた
一段と暑いようじゃ。
「打ち見たところいずれも二十七八の若者揃いのようじゃが、こうしてみると
一段とまた馬術も勇ましい事よ喃」
僕は黙々としてその後につきしたがったが、階段を一つのぼるごとに、僕の心臓はまた
一段とたかく動悸をうつのであった。
夏山図や浮嵐図に比べると、また
一段と出色の作です。
ちょうど三月の初めのころであった、この日は大空かき曇り北風強く吹いて、さなきだにさびしいこの町が
一段と物さびしい陰鬱な寒そうな光景を呈していた。
殊に其の時代の相をはつきり知つてゐたならば、其の器物に對しての鑑賞が、
一段とはつきりしてきて、其の時代と共に呼吸することが出來る。