中橋別荘の門前へ走りついた捨吉が、閉じた門を四五分もヤケに叩いて大声はりあげて案内を
乞うと、ようやく門をあけて現れた別荘番の老人が、
私は朝からかうして憐みを
乞うて居りますが、誰一人として私にお金を恵んで下さいません。
且、文庫屡ば御寄贈を辱うし奉謝候貴兄の批評は大に愛読いたし居候益々御尽力あらんことを祈り申候例の乱筆御ゆるしを
乞うの外なく候不一
新聞の広告でも御承知のことと、思ふが、今度自分は芥川の援助をも
乞うて、「小学生全集」なるものを編輯することになつた。
そういって、同情を
乞うような目つきで、伝さんの顔を見た。
青木の目は、それに対して反抗に輝きながら、しかも不思議に屈従と憐憫を
乞うような色を混じえていた。
だから蟹の弁護に立った、雄弁の名の高い某弁護士も、裁判官の同情を
乞うよりほかに、策の出づるところを知らなかったらしい。
しかし信長との戦では直に破れたので一旦許を
乞うた。
そこで慌てて大阪医科大学の療治を
乞うたけれども奈何にも思はしくない、そのうち一眼はつぶれてしまつた。
別に老人が
乞うたわけではない、いわばこの「砂書き老人」の当然の報酬であったのだろう。