後刻、今度は本当に密室となった部屋の中で、その部屋の中の人が
偶々過って死んだとする。
而して
偶々その憧憬せる平等に達することを得るにしても一般に身体と精神の健全を犠牲としてゐるのである。
偶々看護人でも近寄ろうものなら大声を上げて喚き出す始末で、他人の患部へ手を触れることを烈しく拒絶するのだった。
といふのは、このお菓子が、
偶々羊羹に見せかけてある、さうして買ふ人の購買心を唆るといふ、余りほめることのできない心理がそのお菓子のなかから感じ取られます。
で、
偶々叔母のうちの二階で手にすることの出来た本は、私に非常な興味を感じさせた。
のみならず
偶々眠ったと思うと、いろいろの夢を見勝ちだった。
偶々筆を執つて「両国」を念頭にする、材料にするのは、私にとつてうれしいのだ。
偶々カチ鴉が二羽慌ただしく飛んで來て近くのアカシアの梢で啼いた。
紙の古きは大正六年はじめて萬年筆を使用されし以前に購はれしものを
偶々引出して用ひられしものと覺しく、墨色は未だ新しくして此の作の近き頃のものたる事を證す。