或は歴々として、我足下の大地の如く、個体の面目を
備へたる夢を見る。
しかし、現今の棋士は、相当の人格を
備へてゐるから、追従負などはしないと信じていゝと思ふ。
ミレーのものは貴族でも其間に質朴なる百姓の面影を宿し、バンダイクが描くと、百姓でも貴族の風格が
備はる。
こは家に釣の具の
備への無きにはあらねど、猶ほ良きものを新に買ひ調へて携へ行かんには必ず利多かるべしと思ひてなり。
決して大年増の莫蓮を荷つて行ける逞しさもまた智恵も
備へた眼ではない。
真成なる有といふものがあるとすれば、それに必要な条件が、かういふところで、現実的に、完全に
備はつてゐるのではあるまいか。
西原氏は、嫌味のないさつぱりした調子で、あの坂でつくつた自作の童謠を口ずさみ、しみじみと愉快氣に童男型でありながらまた大人風をも
備へた大兵の體を振つた。
故に姦雄的権略的の性質を
備ふるものにあらざれば之を軽侮し之を棄却せざるなり(例へばナポレヲンがヨーゼフ※ンを棄つるが如し)。
あはれ願くは巧言、令色、媚びて吾人に対せよ、貞操淑気を
備へざるも、得てよく吾人を魅せしむ。