父は財産
全部を忰の前に投げ出して、自分は思い切りよく隠居してしまった。
けれどもこの朝の百本杭は——この一枚の風景画は同時に又本所の町々の投げた精神的陰影の
全部だった。
支那でも、沙室でも、印度でも、——つまり懐郷の悲しみは、自分の憂鬱の
全部ではない。
胸の臓器を
全部押し上げて出してしまおうとしているかのような咳をする。
そして、これが完全屍蝋の研究以外に、失楽園で過された生活の
全部だったのです」
ある詩人の書いた一行の詩はいつも彼の詩の
全部である。
中庸というものが群集の
全部に行き渡るやいなや、人の努力は影を潜めて、行く手に輝く希望の光は鈍ってくる。
第一の種類に属する人は、その人の生活
全部が純粋な芸術境に没入している人で、その人の実生活は、周囲とどんな間隔があろうと、いっこうそれを気にしない。
で、私は母や弟妹に私の心持ちを打ち明けた上、その了解を得て、この土地
全部を無償で諸君の所有に移すことになったのです。
しかし僕の経験によれば、それは動機の
全部ではない。