勉強して書きつづけて、もう三、四枚で完結するかと思うところへ、図書刊行会の広谷君が雨を
冒して来て、一時間ほど話して帰った。
それゆゑ私も幾度となく茸に箸をふれようとしたが、植物辞典にふれないうちは安心ならぬといふ考へで、この恐怖を
冒してまで、食慾に溺れる勇気がなかつたのである。
徒労の身を疲らす有るのみなるを嘆じたるは東の語、慈顔も之を
冒すこと数※すれば怒ることを云へるは西の語なり。
熱い烈しい日光を
冒して外に出て見たが、眼が眩むように、草も木も、すべてだらりと葉を垂れて、眤と光っている。
現に僕は、陸軍の幼年学校で、それが知れればすぐに退校されるという危険をすら
冒して、忠勇なる軍人の卵どもが、ずいぶん猛烈にこの変態性欲に耽っているのを見た。
唯一人、雪を
冒して何處よりともなく、やがて馬前に來る。
わたしは厳寒を
冒して、二千余里を隔て二十余年も別れていた故郷に帰って来た。