龍馬が内に帰らねバ養子もできず、家兄にまで大きに心配相かけ候とならバ、又々
出奔か死か可仕より外なし。
彼が妻と七才になる娘とを置き去りにして他郷へ
出奔してから、二年になる。
彼はいそいで
出奔して、まるで身体が旅愁のやうな、狂暴な感傷にふるへながら、軌道を忘れた夥しい決意を噛みつづけて彷徨ひ歩いた。
心を決して父と伯父に乞いもし許されずは
出奔せん覚悟を様子にそれと悟りてか、左まで思わば出京せよと許可を得たり。
私は明治の末のある年の十一月下旬、勤め先を
出奔したことがある。
半左衛門亡き後のこととて、虎松は陰になり日向になり、この年若の半之丞を保護してきたつもりなのに、彼はスルリと腋の下を通りぬけて、どこかへ
出奔してしまった。
お父さんが
出奔した時には三人の子供を抱えてどうしようと思ったもんやが……。
あるいはまた情夫の出来たために
出奔してしまったと云うものもある。
吉助は愚物ながら、悶々の情に堪えなかったものと見えて、ある夜私に住み慣れた三郎治の家を
出奔した。
——彼は不義をして伊賀を
出奔し、江戸へ来て遊里などへ出入しながら、いつか近代的(当代の)大詩人になつた。