辰夫は何事にも諦めよく深く自らを
卑下してゐたが、自分の家族に就てだけは温い愛を信頼してゐた。
彼等が自ら自己の事業を
卑下し、自分の仕事に就いて暗黙の間に一種の「良心の不安」を持つてゐたところにある。
此をはかない詩人気どりの感傷と
卑下する気には、今以てなれない。
従来片商売として扱われ、作者自身さえ戯作として
卑下していた小説戯曲などが文明に貢献する大なる精神的事業である事を社会に認めしめたのは全く坪内君の功労である。
かういふ種類の、
卑下とも謙遜とも取れる云ひ方は、聴きやうによつては気障かもしれぬ。
してみれば、現在大家でも、そのむかし拙いもののあるのは当然のことで、少しも
卑下するところはありません。
矛盾、対立、誇張、露骨、安易、
卑下、傲慢、混乱等、かうしたものは詩ではない。
卑下慢とは、之を言ふのか、顏を見るから、相手を呑んでかゝる工夫をしてゐる。
ううん、お前は寝ちやあゐないんだ、この意地つぱり娘め!」彼は、ちよつとの間でも
卑下したことを恥ぢるやうな調子で、声を高めた。