しかしこの約束を守らなければ、(突然真面目に)「いんへるの」の猛火に焼かれずとも、現世に
罰が下る筈です。
はははは、いや、わたくしなぞはそんな悪いことをしないから、大師さまの
罰もあたらないで、まあこうして無事に生きているんですよ。
人々は、いまじゃ弘法大師もさっぱり睨みがきかなくなったと云って
罰のバチがあたることを殆んど信じなくなっている。
早い話が、法律はよその畠の大根を引き抜いた人間を処
罰するが、決して引き抜かれた大根を
罰しない。
「圭一郎もそないな
罰當りを言や今に掘立小屋に住ふやうにならうぞ」と父は殆ど泣いて彼の不心得を諫め窘めた。