それはオレは口が軽いし、変なことを
口走るヘキがあるのも事実かも知れないけど、アンタ方もちかごろ人相が変ってきたなア。
ぼくが見ている前だというのに堂々とトオサンに向って自分の処女を自由にしてなどとただならぬ目ツキで
口走るものですから、トオサンも狼狽して、
生憎彼は非常に表現の下手な生れつきで、精神内容を表現しきれず、事あるたびに奇妙なことを
口走る結果になつて、怒られたり笑はれたり蔑まれたりしてゐる。
まったくもって、恥しいことを春には
口走るが、それは幸福なたわごととしてお互いに見ぬふりの致し合いをするところに、また春のめでたさもあるようである。