彼は年ごろ六十かもう少し上かも知れなかつた、古い着物ながら身ぎれいにして大きな
合切袋をそばに置いて坐つた。
煙草もはな紙も、手拭も矢立も鉛筆も、うすい紙の短冊を三四枚かさねて三つ折にたたんだものや、古い歌の本、そのほか一さい
合切入れてあるらしかつた。
君の名を知らんもんだからね、どんな容子の人だと訊くと、鞄を持ってる若い人だというので、(取次がその頃私が始終提げていた革の
合切袋を鞄と間違えたと見える。
君の名を知らんもんだからね、どんな容子の人だと訊くと、鞄を持ってる若い人だというので、(取次がその頃私が始終提げていた革の
合切袋を鞄と間違えたと見える。