その西に沈む夕日も見られて、潮風に
吹きさらされた小さい島である。
吹きさらしの中ではあるが、小屋に接した羽目板の際であるから、風雨にうたれて汚れたような跡はなかった。
ただ、己たちのやった犬は、どんな遠いところにいても、お前が笛を
吹きさえすれば、きっとそこへ帰って来るが、笛がなければ来ないから、それを忘れずにいるが好い。
するとあくる日は、まだ、笛を
吹くか吹かないのに、赤い勾玉を飾りにした、目の一つしかない大男が、風のように空から舞い下って、
冬もまた、風が
吹くやら、雪がふるやらするので、とかく、商売がすたり易い。
まして岸を行く往来の人々は、丸頭巾をかぶつたのも、革足袋をはいたのも、皆凩の
吹く世の中を忘れたやうに、うつそりとして歩いて行く。
が、小娘は私に頓着する気色も見えず、窓から外へ首をのばして、闇を
吹く風に銀杏返しの鬢の毛を戦がせながら、ぢつと汽車の進む方向を見やつてゐる。
十一月四日——「天高く気澄む、夕暮に独り風
吹く野に立てば、天外の富士近く、国境をめぐる連山地平線上に黒し。
折しも弥生の桜時、庭前の桜花は一円に咲揃い、そよ/\春風の
吹く毎に、一二輪ずつチラリ/\と散て居る処は得も云われざる風情。
で、外へ出るたんび、公園だの、貸自動車屋の車庫だの、しまいには、こわれた自動車たちが、雨や風に
吹きさらしになっている、汚ない裏町の隅々までも探しまわりました。