今迄
喘ぐように苦しげに呼吸していた晴次はこの時ようよう口を開いて、
人の気配のさらに無い山路に尨大な孤独を噛みしめながら、谷風に送られて縹渺と
喘ぐことを、凡太はむしろ好んでゐた。
雲は焚け、草は萎み、水は涸れ、人は
喘ぐ時、一座の劇はさながら褥熱に対する氷のごとく、十万の市民に、一剤、清涼の気を齎らして剰余あった。
雲は焚け、草は萎み、水は涸れ、人は
喘ぐ時、一座の劇は宛然褥熱に対する氷の如く、十万の市民に、一剤、清涼の気を齎らして剰余あつた。
洪水には荒れても、稲葉の色、青菜の影ばかりはあろうと思うのに、あの勝山とは、まるで方角が違うものを、右も左も、泥の乾いた煙草畑で、
喘ぐ息さえ舌に辛い。
居常唯だ書籍に埋もれ、味なき哲理に身を呑まれて、徒らに遠路に
喘ぐものをして、忽焉、造化の秘蔵の巻に向ひ不可思議の妙理を豁破せしむるもの、夏の休息あればなり。
それが飛びつくやうに「しめおん」の頸を抱くと、
喘ぐやうに「私が悪かつた。
私は慘めな自分の力いつぱい仕事に向けるやうにして、
喘ぐやうな一日一日を送つて來たのだつた。
ほんの二十歩ばかり歩いただけなのに、もう疲れてしまったらしい、
喘ぐような息遣いをしながら、そのベンチに腰を下ろした。