と身を横に、蔽うた燈を離れたので、玉ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き出された、上り口の半身は、雲の絶間の青柳見るよう、髪も容もすっきりした中年
増。
濠を潰させる好餌として、有力な人の口から、
増封を匂わせたに違いないのである。
そのなかで半七の眼についたのは三十二三の中年
増で、藍鼠の頭巾に顔をつつんでいるが、浅黒い顔に薄化粧をして、ひと口にいえば婀娜っぽい女であった。
「いはぬはいふにいや
増る」といふ氣質にして、もし、正當的確な眞情の表現をなし得るなら、これこそ最も日本女性の氣質的好標であらう。
女扇の竹青きに紫の珠を鏤めたらん姿して、日に日に装
増る、草菖蒲といふなりとぞ。
九月の九日、菊見の節句にゃ暮れの六ツから、北町南町両ご番所の者残らずが両国の川
増でご苦労ふるまいの無礼講と、昔から相場が決まってるんだ。
現に私が話を聞いた青森縣東津輕郡の郡農會の技手は、自慢の長髯をしごきつつ、喜色滿面に溢れて、平年作の二割
増收の豫想を壇上から繰返してゐた。
ふだん云つて聞かせる通り、自殺などをしたものは波群葦
増の門にはひられないからね。
此の紅玉に入亂れて、小草に散つた眞珠の數は、次等々々照
増る、月の田毎の影であつた。