そして彼の家も昔に
増して大へんに忙がしくなったが、その権力の方は自然に消えていったのも仕方のないことであった。
が、それにも
増して堪え難かったのは、念友の求馬を唯一人甚太夫に託すと云う事であった。
春の雷が鳴つてから俄に暖気を
増し、さくら一盛り迎へ送りして、今や風光る清明の季に入らうとしてゐる。
見るたびに不愉快が
増して行ってもその不愉快がどうしても始末しようという気持に転じて行かないときがある。
それが互に文学と云ふ共通の話題が出来てからは、愈親しみが
増したやうであつた。
それも一日毎に数が
増して、半年ばかり経つ内には、洛陽の都に名を知られた才子や美人が多い中で、杜子春の家へ来ないものは、一人もない位になつてしまつたのです。
実際男の一文字眉は深くひそんで、その両眼はひときわ鋭さを
増して見えた。
だが、何にも
増して彼が心をひかれ、そしてそれのみが唯一の力とも慰めともなったところのものは、やはり人間の声であり、同志たちの声であった。