女「こゝは田舎でいやな香がありますが玉子酒にするとその香を消すさうでございます、それに暖つて
宜うございます。
源「いえいけませぬ、いけませぬ、ハツ/\医者に掛るのも
宜うがすが、直と薬礼を取られるのが残念ですから。
婦人「成程是は頓だ
宜うございますね、ぢやア之を一つ戴きませうか。
宜なるかな、南園白梅の花、寿陽公主の面上に落ちて、梅花粧の天下を風靡したるや。
人の云うことを聞けば
宜いと云って人を甘やかすばかりが慈悲ではありません。
処が秋作、豊後之助の贔屓なのは分つて居るが、若菜姫が
宜くツてならない、甚だ怪しからん、是は悪党の方だから、と思つて居たんです。
富「何を同じような事をいうのだよ、あいよ今直ぐに帰るから少し待っておいで……きいさん上げますよ、
宜うございますか、さア上げますよ」
主人「ナニ無沙汰の事は何うでも
宜い、が、其の大金を取って横山町の横と云う字にも足は踏掛けまいと誓った伊之助が、若の許へ来て逢引をしては済むまいナ」
喜「
宜いから黙ってろ、殿様此女の里は白銀町の白旗稲荷の神主の娘ですが、何うしたんだか、亭主思いで、私が酒を飲んでは世話を焼かせますが、能く面倒を見ます」