けれども、見ぬ世の祖々の考へを、今の見方に引き入れて調節すると言ふことは、其が譬ひ、よい事であるにしても、
尠くとも真実ではない。
らしよなりずむに囚はれた人類学・考古学の連衆は、無反省に、先住民族を持ち出すが、
尠くとも、日本の巨人伝説を考へるには、此行列の印象のある事を忘れてはならない。
尠くとも、的・的居は一つで、其的居の筋を引いた物が、戦場に持ち出したまといである、と言ふ仮説だけは立ち相である。
尠くとも我々の観念にあるおきなは、唯の老夫ではない。
まだ病後のをつくうさが残つてゐるのかと思ふと、
尠くとも目をあげた顔には、一面、若い快さを湛へてゐるではないか。
尠くとも、私自身としては、胸の奥・心の底から感得したと思うてゐる。
さうして
尠くとも、此にはあつて、宮廷の行事及び呪詞にない一つは、みぬまに絡んだ部分である。
出羽奥州の人たちは、湯を娯しむと言うより、年中行事として、
尠くとも一週間なり、半月なり、温泉場で暮すと言う風を守っている。
尠くとも、優れた新進作家の發見を、片手わざとする月評擔當者風な、忠實な氣分にはなれない。
こんなことを言ふと、買ひ被りだと笑はれさうだし、又人間さう一概に、言へるものでないことも訣つてゐるが、
尠くとも太宰君は、さう言ふ人だつた氣がする。