処はジル湖の大部を占める、榛の林に掩はれた、平な島の
岸である、其傍には顔の赭い十七歳の少年が、蠅を追つて静な水の面をかすめる燕の群を見守りながら坐つてゐる。
そのうちに僕等は松の間を、——疎らに低い松の間を通り、引地川の
岸を歩いて行った。
そこは一旦湍った水が今までの勢いを失いながら、両
岸の石と砂との間に青々と澱んでいる所であった。
こつちの
岸の方が深く、川のなかには大きな石が幾つもあつて、小さな淵を作つたり、流れが激しく白く泡立つたりしてゐる。
まして
岸を行く往来の人々は、丸頭巾をかぶつたのも、革足袋をはいたのも、皆凩の吹く世の中を忘れたやうに、うつそりとして歩いて行く。
夏の初め、彼は城下に住むことを厭いて、半里隔てし、桂と呼ぶ港の
岸に移りつ、ここより校舎に通いたり。
僕はよく
岸に立ってその景色を見渡して、家に帰ると、覚えているだけを出来るだけ美しく絵に描いて見ようとしました。
私は荒涼とした思いをいだきながら、この水のじくじくした沼の
岸にたたずんでひとりでツルゲーネフの森の旅を考えた。
両
岸の家々はもう、たそがれの鼠色に統一されて、その所々には障子にうつるともしびの光さえ黄色く靄の中に浮んでいる。