峡の西岸の水ぎわに石があって、その形が女のように見えるので、その石を貞女と呼び慣わしている。
西南へ下れば天龍
峡となり、東北へ行けば、金森山と卯月山との大渓谷へ出るという郷で、その二つの山の間から流れ出て、天龍川へ注ぐ法全寺川が、郷の南を駛っていた。
鰍は、三月から六月頃へかけて、まだ川の水温が高まらぬうち、
峡流の底の転積する玉石の裏側に産卵する。
また、川魚では初秋の冷風に白泡をあげる
峡流の奥から下ってくる子持ち鮎の旨味と、木の葉山女魚の淡白にも食趣の満足を覚えていたのであった。
山下の村人に山の名を聞くと、あれが蝶ヶ岳で、三、四月のころ雪が山の
峡に、白蝶の翅を延しているように消え残るので、そう言いますという。
これから中部日本を流れる代表的な
峡流に点綴される釣り風景と、鮎の質とを簡単に紹介しよう。
片品川の上流は、戸倉で鳩待峠の方から流れてくる笠科川を合わせるのだが、合流点から上流は両岸が切り立っていて、
峡が深い。
上賀茂にある姪夫妻の家へ足をとどめ、そこから一里半ばかり上流の賀茂川の
峡を探ったが、その年は放流鮎僅かに二万尾、既に釣り尽くしたあとで、土地の若い者が一人。
尋めゆきて死所と定めむ天竜の
峡ちかき村清水湧くところ（原君、飯田市より二三里を距てたる山本村の清水に疎開し来れと誘はるるにより、かかる夢あり）
