第三は、あるとき機糸の枠に
巻きてありしを、あたかも歯にて噛み切りたるがごとくに、切りみだしたりしことあり。
読み終えて、
巻くともなしに手紙を掌に持ったまま、私の冥想は徐に、さまざまの方へ向かっていった。
夜目にはその着ている物の色目もはっきりとは知れなかったが、筒袖も袴も洗いざらしのように色がさめて、袴の裾は皺だらけに
巻くれあがっていた。
次第に、谷が蹙って来る、水は、大石の下に渦を
巻く。
だから、その頃まだ加賀国や土佐国で
巻く精巧な毛鈎が移入されなかった奥利根川の釣り人は、播州鈎や京都鈎に藻蝦の肉を絞り出し、餌としてつけたのであった。
「自らパンを得る青年」として、彼の「小さな母」を煙に
巻くぐらゐの舌はもつてゐる。
今夜こそと思っていると、朝四つ刻、黒船の甲板が急に気色ばみ、錨を
巻く様子が見えたかと思うと、山のごとき七つの船体が江戸を指して走り始めた。
どうかして敵を打ちたいと思いますが、何分向こうは三上山を七巻き半も
巻くという大むかでのことでございますから、よし向かって行っても勝つ見込みがございません。
緑草直ちに門戸に接するを見、樹林の間よりは青煙閑かに
巻きて空にのぼるを見る、樵夫の住む所、はた隠者の独座して炉に対するところか。