その人の顔の立派なる事、神
彩ありとも云うべきか、滅多に世の中にある顔ならず。
毛色は夏冬によって、
彩を異にし、冬毛は背中に白味が多く、腹の方は黒褐色を呈し、過眼帯は黒い。
ときどき散歩に行く、丸の内のお堀端の柳が水に映る姿も、故郷の
彩である。
折りから漸く秋深く、楢と椚の林は趣をかえて紅葉の
彩に美しい。
落葉松はもう枯林となって、遠く野の果てに冬の
彩を続けている。
魚獣の佳味、美器の艶谷を誇ったところで、野菜の点
彩がなければ、割烹の理に達したとはいえないであろう。
誰かの戸を叩く音が、一年後の現実へ陳
彩の心を喚び返した。
折柄、八月の末近く南国とは言ひながら、車の窓に展転する峠の山々に、どこか秋の気が忍び寄つて、山骨を掩ふ楢の木の緑の葉も、※
彩のさかりを過ぎてゐた。