事実、二人の間には、なにひとつロマンチックな思ひ出といふやうなものはなく、そのかはり、また、これといつて期待を裏切られたといふ
悔いもなかつた。
自分の大望の爲めに、意識して犧牲を要求しながら、少しも
悔いなかつた古人の事を思ふと、人の生活の細やかな味ひが心の奧まで響き亙つた。
が、昨の非を
悔い今の是を悟つてゐる上から云へば、予も亦同じ帰去来の人である。
懐中電燈を持っていれば大丈夫だったものをと今になって
悔いてもおそい。
読む書物をもって出なかったことがしきりに
悔いられた。
そうなってしまうと、今度はハッキリ自家へ真直に帰らなかったことが、たまらなく
悔いられた。