彼は浪費家であるけれども、根は吝嗇で、つまりキンケン力行の世人よりもお金を惜しみ物を
惜しむ人間の執念を恵まれてゐるのだが、守銭奴の執念をもちながら浪費家だ。
「父帰る」は見物をあゝ泣かせてしまふところに、
惜しむべき芸術的の瑕瑾がある。
志賀氏は惜しみ過ぎると思われるくらい、その筆を
惜しむ。
彼女が自分自身の時間を
惜しむ近頃の癖から、もう一つは口やかましい祖父に対する反感から、眠り果てぬ眠りを装うているのだということは、祖母も母も感付いていた。
櫻を
惜しむの、春のなごりのと、文學にばかり凝つて、天下のことは、思つて見もしないのだらう。
それ故に青年時代に高く、美しい書物を読まずに逸することは恐るべく、
惜しむべきことである。
社会性と処世との配慮はやや後れてくるべきものであり、それが青春の夢を食い尽くすことは
惜しむべきである。