女は、彼が仮令もっと露骨にこんな事を遣って見せても、恐らくは少しも気に留めないだろうと思われる程、天使的の自由さと
愉快さとで歩みを運んで居る様であった。
尤も義務を履行したという自意識は
愉快であるに相違ないが、この
愉快は消極的の
愉快であって、普通の
愉快さではない。
それは遠い昔、たった一つしたかの女のいのちがけの、辛い悲しい恋物語を、ふざけた浮気筋や、出世の近道の男釣りの経歴と一緒に噂される心外な不
愉快さに同じだった。
「此奴は大きい」「いゝ匂ひ」自分たちは籠の中の蕈を取上げて匂つたり、各※大きいのを搜した時の
愉快さを話し合つたりした。
この共同生活が實際また、かの渡り鳥や旅行者の心安さのやうに、生活と云ふものを如何にも
愉快さうなものにして居る。
私は家に帰つてすぐ、又飛び出す体裁の悪さを考へたが、久しぶりで健全な友人たちと、快活な雑談を交す
愉快さを思ふと、兎も角も出席しようと心に決めた。
明子はやはり踊つてゐる友達の一人と眼を合はすと、互に
愉快さうな頷きを忙しい中に送り合つた。
彼女は朋輩の売笑婦と違つて、嘘もつかなければ我儘も張らず、夜毎に
愉快さうな微笑を浮べて、この陰欝な部屋を訪れる、さまざまな客と戯れてゐた。
忠実な利口な犬をかわいがったことのある人には、そのような
愉快さの性質や強さをわざわざ説明する必要はほとんどない。