渋々捨てて、新しきを、また別なるを、更に幾度か挽いたれど、鋸につきたる炭の粉の、其都度雪を汚しつつ、はや残り少なに
成りて、笹の葉に蔽はれぬ。
第二に於て、作者は
成るべく自己の生活をバツク・グラウンドに追ひやつて、世相を輕い熱度を以て取扱つて、そこに作家の哲學をほのめかさうとしたやうに見える。
「なにしろ幕府の秘密主義で、見す見す世間に知れていることでも、
成るべく伏せて置くという習慣がありましたから、表向きの書き物には残っていないのかも知れませんな。
その為に深夜までも思い耽る、朝も遅くなる、つい怠り勝に
成るような仕末。
梅「寒いから一杯お飲べかえ、沢山飲むといけないよ、二合にしてお置よ、三合に
成ると少し舌が廻らなくなる、身体に障るだろうと思って案じられるから」
首相は日英同盟は益々鞏固なる上日佛日露の協約
成りて日本の地位は鞏固になれる旨を演説せられたり。
折々の空の瑠璃色は、玲瓏たる影と
成りて、玉章の手函の裡、櫛笥の奧、紅猪口の底にも宿る。
今と
成りては、戊辰の義戰も偏へに私を營みたる姿に成り行き、天下に對し戰死者に對して面目無きぞとて、頻りに涙を催されける。
然して、稿本
成りて、名を言海とつけられしは、佐藤誠實君の考選にいでたり。