以前に淺見君と會つたのはこの二回位のもので、それ以後は發表された數篇の小説で、その
手堅い平明な作風に接した譯である。
父も持ち前の商才にたけてはいたが、田舎育ちのために、性格に反して大事をとり、
手堅い商法からハミだす勇気を失っていた。
始めはこの古い家柄を衷心から尊敬するスコッチの大蔵大臣の肝煎りで
手堅い公債ばかり買い入れ、その利息で楽々生活費が支弁出来た。
繊細かと思ふと案外図太く、飄々乎としてゐる半面になかなか
手堅いところもある。
イプセンの研究家として自他ともに許し、作品は
手堅い構成で論理的な筋の運びを特色としてゐたやうである。
つまり、さういふ危かしさを持たない、
手堅い作品ならば、一番無難であるとは確かに云へると思ふ。