進歩は進歩だらうが、ダリヤのやうになつた菊よりは、本性の気味を強く
把握してゐるものを得て見たい。
全然性格を無視した人間の
把握の仕方、常に事件の線的な動きだけで物語る文体、さういふものが百年前にもあつたのである。
同様に我々の立場でも日本精神を独立した形において指摘し
把握することは、今日はなはだ難事である。
殊に、同時に、この両者に欠けてゐるものは、近代生活の中に含まれる特殊な戯曲的雰囲気の
把握である。
優れた戯曲ならば、それ自身に、既に、ある「心理的リズム」をもち、そのリズムの完全な
把握によつてのみ、舞台は美しい幻象の連続となるのである。
そこで、最も、理論を単純化するために、演劇の進化は、「言葉」の本質的
把握にあり——とさへ云ひきつたこともあるのである。
しかし彼女の芸質がルンペン性を通じて人間を
把握してゐるものだけに彼女の顧客の範囲は割合に狭い。
まず我々は、いかなる方法によって「いき」の構造を闡明し、「いき」の存在を
把握することができるであろうか。
この根本を、しつかり
把握しさえすれば、現在我々が直面しているもろもろの事態に対処して行くうえに、おおむね誤りなきを期することができるはずである。
歴史の概念とは歴史が如何なるものかを突止め
把握し得たとき、之に關する知識である。