ダイヤが欲しいのよ、と、口先にまで出かかったのを、ぐっと
押えて、陽子は唇を噛んだ。
マギイ婆さんが何か食物を心配しようと云い出すのを
押えてリゼットは云った。
そこへ食事の仕度を運んできた女房と女中が、弁吉を見ると、テーブルへガチャンとお盆をおいて、腹を
押えて笑いころげた。
その青年はやや顔を赧らめさえして私の立去り際を
押えて口籠って言った。
奇麗な袖で顔を
押えて、シクシク泣いているばかりです。
名ざしといったものでしたから、ますますいぶかしさをおぼえまして、すぐと右門が立とうとすると、しかし伝六が
押えていいました。
バイオリンの天才少女の辻久子は、八つか九つの時、豆腐屋のラッパの音を聴いただけで、もう耳を
押えて、ああ耳が痛い耳が痛いと泣き叫んだということである。
ケチンボはピストルを投げ出して泥棒を追っかけて、往来で取っ組み合いを始めましたが、やがて通りかかったおまわりさんが二人を
押えて警察へ連れて行きました。
両手でくり返しその錠前を
押えては、錠のぱちりと下りる音をじっと聞いているのだ。
ドュフランはそれをまあまあと
押えて唄うたいの窮状をくわしく述べ、終りに嘆願の筋を申出た。