いわゆる
故国は喬木あるの謂にあらずと、唐土の賢人はいったそうだが、やはり
故国の喬木はなつかしい。
昇龍丸は無事
故国に帰りついたが、帰国の途次、畑中は船員にはかって、
さうしてこの不安ながたがたした町の中で、
故国のしめやかな哀音を耳にするのは、何とも云へぬ心持であつた。
私も、その少し前に
故国の土を踏んだのだが、岩田と私とはほとんど同じ時代にフランスの芝居を勉強しに行つたのに、遂にそれまで相識る機会はなかつた。
かういふ彼が、画家としてどんな仕事をしてゐるか、一度、
故国の人々は是非観ておかなければならぬ。
しかし足かけ九年ぶりに日本へ帰ってきた当時のことであるから、
故国の文化に対する私の印象はかなり新鮮なものではあったと思う。
「パンセイは
故国を長くはなれていたのが原因で死んだのだ」と、彼は言っている。