ほんとうに
旧いものを尊ぶ人、ほんとうに新しいものを求める人が、それほど少くなつたのでせうか。
こんにちでも繁昌している団子坂の菊人形、あれは江戸でも
旧いものじゃあありません。
新らしい電灯を用いて、
旧い蝋燭を捨てず、そこに半七老人の性格があらわれているように思われた。
それは台所の煤を払って、
旧い絵馬を新らしい絵馬にかえるのです。
この伊勢屋は
旧い店で、暖簾に柘榴を染め出してあるので、普通に柘榴伊勢屋。
丸井はそこらでも
旧い暖簾の店で、ゆうべ四ツ半(午後十一時)頃に表の戸をたたく者があった。
自然の風物は如何にも南国的であるが、既に柳河の街を貫通する数知れぬ溝渠のにほひには日に日に廃れてゆく
旧い封建時代の白壁が今なほ懐かしい影を映す。
本条純八はやや得意気に、
旧い朋友の筒井松太郎へ、斯う改めて訊いて見た。
「ウン貴様は未だこの方を御存知ないだろう、紹介しましょう、この方は上村君と言って北海道炭鉱会社の社員の方です、上村君、この方は僕の極く
旧い朋友で岡本君……」