細君は名をお貞と謂う、
年紀は二十一なれど、二つばかり若やぎたるが、この長火鉢のむこうに坐れり。
もっとも、そうした
年紀ではなし、今頃はもう左衛門で、女房の実の名も忘れているほどであるから、民弥は何の気も無さそうに、
「……
年紀は、そうさね、七歳か六歳ぐらいな、色の白い上品な、……男の児にしてはちと綺麗過ぎるから女の児——だとリボンだね。
右手に提げたる百錬鉄の剣は霜を浴び、月に映じて、
年紀古れども錆色見えず、仰ぐに日の光も寒く輝き候。
その
年紀は二十三、四、姿はしいて満開の花の色を洗いて、清楚たる葉桜の緑浅し。
車夫の老人は
年紀すでに五十を越えて、六十にも間はあらじと思わる。
旅僧は
年紀四十二三、全身黒く痩せて、鼻隆く、眉濃く、耳許より頤、頤より鼻の下まで、短き髭は斑に生ひたり。
話はすこし昔にかえるが、この女は二十五の
年紀に、たった一月のうちに、その父親と夫と、生れたばかりの赤ン坊を亡くしてしまったのだった。