きのうまではフランネルに袷羽織を着るほどであったが、
晴れると俄にまた暑くなる。
けれども上高地へ引き返すにしても、兎に角霧の
晴れるのを待つた上にしなければなりません。
晴れると同時に、陽の光はジリジリと暑さをもって来た。
それでも里からはもう可なり上つて來たのだし、經驗に富んでる筈の山に詳しいお爺さんが大丈夫と云ふて居るから、今に
晴れるだらうと思つて猶上つた。
まれに雨の降る日だけは、楽々とされたものの、そのかわり、すこし雨が
晴れると、水たまりの中へ投げ込まれたり、また、体じゅうを泥で汚されてしまうのでした。
けれども上高地へ引き返すにしても、とにかく霧の
晴れるのを待った上にしなければなりません。