主従五つの影は、身動きもせず人形のように黙座したままで、いたずらに只さんさんと
月光がふりそそいでいるばかりである。
と、大納言の歩く行くてに、羅の白衣をまとうた女の姿が、
月光をうしろにうけて、静かに立っているのであった。
併し、満月がのぼる時などは、一見平凡なこの川口も、
月光の特別なかがやきを此処で見ることが出来る。
哀れ、我ら近代邪宗門の徒が夢寝にも忘れ難きは青白き
月光のもとに欷歔く大理石の嗟嘆也。
干潮で荒い浪が
月光に砕けながらどうどうと打ち寄せていました。
同十八日——「月を蹈んで散歩す、青煙地を這い
月光林に砕く」
南は山影暗く倒に映り北と東の平野は
月光蒼茫として何れか陸、何れか水のけじめさへつかず、小舟は西の方を指して進むのである。
南は山影暗くさかしまに映り、北と東の平野は
月光蒼茫としていずれか陸、いずれか水のけじめさえつかず、小舟は西のほうをさして進むのである。