そのうちでも、某というのは一頭地を抜いた名家で今は退職しているが、この家の長男は大審院の判事まで
栄達した人である。
栄達を望むのは人情だとすれば、
栄達にも増した美しい夢を、より人間的な夢を、なぜ青年に与へようとしなかつたのでせう。
けれど、私は、そうした金殿玉楼に住んで、人生の欲望に満足し、また自分の善いことをした行為が酬いられて
栄達を遂げたような童話を書こうとは思わないのであります。
また、あるときは、思わぬ知遇を得て、
栄達する自分の姿を目に描きました。
狂悖暴戻、余りに其家門の
栄達を図るに急にして彼等が荘園を奪つて毫も意とせざりし、より大胆なるシーザーとしての入道相国を見たり。