すなわち、たった一語の使いわけによって、いともあざやかに区別をつけてそれですましてしまうだけ、物自体の深い
機微、独特な個性的な諸表象を見のがしてしまう。
日支両国民の感情に若しも融和を欠くといふ点があるとすれば、私は、お互にもつと根本的な人間心理の
機微について自覚反省すべき領域がありはせぬかと思ふ。
なぜなら、どんなに
機微な問題でも、事、日本人全体の名誉と幸不幸に関する限り、それに無関心でゐるといふことは今や許されないからである。
——ルナアルは「
機微な問題」に眼を向ける人である。
さうしてその
機微を知らぬ世俗が、すぐに兎や角非難をするのは、夏雄の場合と同じださうである。
すべての迷信は信仰以上に執着性を有するものであるとおり、この迷信も群集心理の
機微に触れている。
ただ彼は國文學者であると同時に、民俗學者であるから、歌風も自らその色彩を帶び、人情の
機微、人事の複雜を詠ずるを以て得意としてゐる。
生命の法則についての英知があって、かつ現代の新生活の現実と
機微とを知っている男女はこの二つの見方を一つの生活に融かして、夫婦道というものを考えばならぬ。
もしそれこれを憶うていよいよ感じ、瞑想(めいそう)静思の極にいたればわれ実に一呼吸の
機微に万有の生命と触着するを感じたりき