家中の
武士は、元和以来、絶えて使わなかった陣刀や半弓の手入れをし始めた。
一個の蕩児であり、無頼の若
武士ではあったけれども、まだ悪事と名の付くことは、何もしていなかった。
が、そうした風光のうちを、熱海から伊東へ辿る二人の若い
武士は、二人とも病犬か何かのように険しい、憔悴した顔をしていた。
が、少年時代に受けた
武士としての教育が、それを許さなかった。
求馬は早速公の許を得て、江越喜三郎と云う若党と共に、当時の
武士の習慣通り、敵打の旅に上る事になった。
この正月の元旦に、富森助右衛門が、三杯の屠蘇に酔って、「今日も春恥しからぬ寝
武士かな」と吟じた、その句がふと念頭に浮んだからである。
彼はふだんから天狗などというものの存在を一切否認しようとしている剛気の
武士であった。
三歳四歳では唯だ表紙の美しい絵を土用干のやうに列べて、此
武士は立派だの、此娘は可愛いなんて……お待ちなさい、少し可笑しくなるけれど、悪く取りつこなし。
武士たるの習練を去りて、
武士たるの外見を存したりき。
」といふ
武士的教育の感化から、一切これを否認しようと努めてゐたらしい。
