一、私共の
水夫一人随分気強キ者ナリ幕船へのりたれバ夫もまだたしかにハ知れず。
今朝伊予の大洲より屋鋪にかけ合がきて、
水夫両三人、蒸気方三人計も当時の所、拝借とて私し人数を屋鋪より五大才助が頼にてさし出し候」
水夫達は驚いて急ぎ本船に漕戻り、二人を乗せて印度へ向けて立去つた。
二挺で二千両だつたとさるポルトガルの
水夫の一人が書いてゐるが、当にならないさうである。
トロール漁船の
水夫らしい男が、ヤジるように云った。
コルシカの島かげに立つ灰色の村を指して、「おいらの故郷」と叫んだ見習
水夫。
そういう、なん世紀前かしれぬボロボロの船、帆柱にもたれる白骨の
水夫、それを、死ぬまで見なければならぬ新遭難船の人たち。
ぢやによつて沖を通る廻船さへ、時ならぬ潮のさしひきに漂はされて、
水夫楫取の慌てふためく事もおぢやつたと申し伝へた。