手製の弓矢をつくり、鳥獣をとらえて食い、山の石を押し倒して力を鍛えたり、木立を相手に立廻りの稽古に
没頭したり、日が暮れるまで山で遊んでいる。
和尚は朱筆に持ちかへて、その掌に花の字を書きつけ、あとは余念もなく再び写経に
没頭した。
そして大の男が綴方に
没頭し、面白くもない綴方を、面白くない故に純粋だの、深遠だの、神聖だなどゝ途方もないことを言つてゐた。
私が捨身になって三千枚ほどの長編小説に
没頭しようと覚悟したのも、一つは、この肉体の悪条件を克服したい、してみせる、という意志によってゞあった。
私は、フランス語、サンスクリット、パーリ語、ドイツ語を一時に習い、たゞ、むやみに、辞書をひく機械のように、根かぎり、休むことなく、辞書をひくことに
没頭した。
その間に針目博士——いや、まだ博士にはなっていない針目左馬太学士は、大学の研究室を去って、みずから針目研究室を自分の家につくり、ひたむきな研究に
没頭した。
現在の科学的新聞は主として彼等のポケットマネーを得んとする科学者によって、または研究に
没頭するには余りに年取った科学者によって行われている。
そういう意味からも、本当に作家となる人は、くだらない短篇なんか書かずに、専ら生活に
没頭して、将来、作家として立つための材料を、蒐集すべきである。
唐川枇杷も、長崎種子を根接ぎしで、播種改良に
没頭してゐるので、土地の特有の影は地を掃らつて去らうとしてゐる。
知っていながら哲学や芸術に
没頭しているとすれば、彼らは現代から取り残された、過去に属する無能者である。