水族館まで見て來ると、太郎はたうとう熱い溜息を
洩らした。
しかしあまりの不思議におどろかされて、女たちはそれを同輩に
洩らしたので、遂に主人の耳にもきこえた。
お蓮は牧野にこう云われても、大抵は微笑を
洩らしたまま、酒の燗などに気をつけていた。
しかし彼は格別の話もせず、わずかに二十語ほど
洩らしたのちに、もう帰ると言い出したのです。
——何気なく
洩らした阿部豊後守のこの一言が争論の基で、一大悲劇が持ち上がったのである。
彼はこの時、偶然な契機によつて、醜き一切に対する反感を師匠の病躯の上に
洩らしたのであらうか。
が、金花は彼の腕に、鴉髻の頭を凭せながら、何時もの通り晴れ晴れと、糸切歯の見える笑を
洩らした。
唐桟の半天をひつかけた男は、煙草の煙にむせながら、思はず又苦笑を
洩らしたが、鉄火な相手はそんな事に頓着する気色もなく、手酌でもう一杯ひつかけると、
のみならず本家の嫁は伊東から招きがあつたと
洩らした時、ああ行らつしやいまし、あとは貸して、おばあさまにお小遣を送つて差上げますと云つた。
だがその前にご注意願いたいのは、これは絶対秘密を要する事件で、もし僕が他人に
洩らしたことが知れたら、僕はおそらくいまの地位を失わねばならん、ということです」