職務とは言いながら、片肌脱ぎたいくらいな暑さを我慢して滲み出る汗をハンカチに吸いとらせている姿を見たならばだれでも冗談でなしに、お役目ご苦労と
言いたくなる。
それになにをわざわざ、危険きわまる金属を選んで使用するのであるか、警視庁の保安課なんて、一体どんな仕事をやっているのかと
言いたくなる。
これより上へは立てないので、ここまで連れて来た女親が、わりのう預けて行ったものらしい……敢て預けて行ったと
言いたい。
——しかし、それよりも僕はこんなことが
言いたいんです。
瀬戸内にこんな島があって、自分のような男を、ともかくも呑気に過さしてくれるかと思うと、正にこれ夢物語の一章一節、と
言いたくなる。
その上臆病者で、
言いたいことも言わずにすますような質でした。
しかしそれでも意識がすっかり失われていたとは
言いたくない。
ほの暗い谷(3)を歩みながら、私は世の人々の同情を——むしろ憐れみをと
言いたいのであるが——切望している。
人は、自分が従来服従し来ったところのものに対して或る反抗を起さねばならぬような境地(と私は
言いたい。
主人は不審そうに客のようすを今さらのようにながめて、何か
言いたげな口つきをした。