陶
淵明は菊を愛したので知れた古い人だが、
淵明の愛した菊は何様な菊だつたか不明である。
淵の魚はさぞ待っているだろうと、昭青年は網代笠を傘の代りにして
淵へ生飯を持って行きました。
春は水嵩も豊で、両岸に咲く一重桜の花の反映の薄べに色に
淵は染んでも、瀬々の白波はます/\冴えて、こまかい荒波を立てゝゐる。
騙詐が世渡り上手で正直が無気力漢、無法が活溌で謹直が愚図、泥亀は天に舞ひ鳶は
淵に躍る、さりとは不思議づくめの世の中ぞかし。
今でもそうですが、むかしは猶さら流れが急で、どんどんのあたりを蚊帳ヶ
淵とも云いました。
君の眼から見たら、たった一人の女を奪われて、失恋の
淵に沈む僕のような男の存在はむしろ奇怪に思われるであろう。
その四人が定めどおり馬首をそろえて、半蔵門から隠し井の
淵までさしかかってくると、
こつちの岸の方が深く、川のなかには大きな石が幾つもあつて、小さな
淵を作つたり、流れが激しく白く泡立つたりしてゐる。
唐の中世まで人文未開の域であつた福建が、三四百年後の南宋時代になると、道學者の
淵藪となつた。
その中で何等の危害をも感ぜぬらしく見えるのは、一番恐ろしい運命の
淵に臨んでいる産婦と胎児だけだった。