村の旧家であるが貧困のために極度の節約をしてゐたので、がらんどうの大廈には
火気と人の気配が感じられなかつた。
串に刺して火鉢の灰に立て、上から新聞紙をかぶせて
火気の逃げないようにしておくと、一時間半か二時間の後には肉の中の水分が蒸発して本焼きとなる。
その寝床についている部分は、中に
火気を蔵しているかと思うほど、うす赤い柘榴の実の形を造っているが、そこを除いては、山一円、どこを見ても白くない所はない。
その
火気を感じると、内蔵助の心には、安らかな満足の情が、今更のようにあふれて来た。