さういふところを通りぬけ、玉川に掛つてゐる
無明の橋を渡つて、奥の院にまゐり、先祖代々の霊のために、さかんに燃える護摩の火に一燈を献じた。
「過去」は運命之を抱きて幽暗なる
無明に投じ、「現在」は暫らく紅顔の少年となりて、希望の袂に縋る。
渠は「油地獄」の主人公の如く癡愚
無明なりしものなるか。
累々たる墳墓の地、苔滑らかに草深し、もゝちの人の魂魄
無明の夢に入るところ。
何處からともなく吹きまくつて來る一陣の呵責の暴風に胴震ひを覺えるのも瞬間、自らの折檻につゞくものは穢惡な凡情に走せ使はれて安時ない
無明の長夜だ。